技術の使い方と勉強のコツ

記事作成担当の株式会社テイクーワンH.Mです。

 普段はインフラエンジニアとして働いていますが、本記事では専門的な知識や技術ではなく、ITエンジニアが日常生活を送る上で為になりそうな話をちょっとだけ載せていきたいと思います。

役立つ使い方って何だろう?

「こんなもの勉強したって日常生活じゃ役に立たない」なんて文句は、学生時代によく言ったり聞いたりしたことでしょう。
しかし、実際どうでしょうか。学生時代に勉強した事が、意外な形で役立つことだってあるかもしれませんよね。
「意外」という言い方をしましたが、人によっては「意図した」形で役立つこともあります。
とある私の友人は、ピザやケーキを均等に切り分けるために三角関数を使っていました。
地理や歴史は旅行や観光なんかで役立つでしょう。歴史的な背景を知らないと100%楽しめない観光地としてお城がよく挙げられていますね。
つまり何が言いたいのかというと、「役に立たない」のではなく、「役立つ使い方ができていない」のではないか、ということです。
道具の名前を知っていても、使い方を知らなければまともに使えませんよね。
そして、役立つ使い方を知らないと、いくら勉強したところで記憶に定着しないものです。
学校を卒業するまでに覚えたことが、大人になった時にどれだけ残っているでしょうか。
「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」というニーチェの言葉を借りるならば、これは解釈の問題ということでしょう。
「これは役に立たない!無駄なんだ!」という自分都合の解釈を優先すると、有効な使い方が見えてきません。

疑問が疑問を呼ぶ

ここまで長い前置きをしましたが、何が言いたいのかといいますと。
ITの技術について勉強したり、仕事をしたりしていると、同じ事が言えるだろうなぁ、ということを感じる時があります。
例えば、基本情報や応用情報の資格を取得している人はよく分かると思いますが、勉強をしている時にふと感じることがあるでしょう。
「こんなの覚えたところで、実際の業務には役に立たないな」
前置きで書いた話とほぼ同じフレーズです。

本当にそうか?

そんな疑問が、ふと沸いてきます。
実はそれ、有効な使い方を知らないだけではないのでしょうか?
そして、有効な使い方を知らずに勉強するとどうなるのか、我々は身を以て知っているハズです。

──学校を卒業するまでに覚えたことが、大人になった時にどれだけ残っているでしょうか──

勉強する時のコツは、「実際にどう使うのか」を意識することでしょう。
実際の業務で使うかどうか~という部分も重要ではありますが、吟味したらやはり使わないな!という結論に至ることも多々あることでしょう。
「使う」「使わない」の判断は、やはり使い方を知らなければ出来ないことです。
いくら勉強しても覚えられないよ~という人は、この部分に着目してみてはどうでしょうか。

使い方を知るために知っておきたいこと

「使い方」を知ることによるメリットは、多々あります。

  • 先に起こり得る未来を知ることが出来る
    「こういう使い方をすればこうなる」というトライ&エラーが頭の中で処理できるようになります。
    そうすると、未然にアクシデント(インシデント)を防げるようになります。
  • ハンマー釘病を予防できる
    1点目と内容はほぼ同じですが、これも大事なことです。
    ハンマー釘病とは「ハンマーを持っているとあらゆるものが釘に見える」ことを言います。
    例えば、今までやったことの無い業務に触れる時に、今までの業務と同じフローで対処しても問題ないのか?
    今まで使ったことの無いコマンドや引数だけど実行してもいいのか?という疑問が生まれた際に、正しい使い方を知らないと試してみるまで分からない!となってしまいます。
  • 他人に教えやすくなる
    正しい使い方を知っていればより具体的で論理的な説明が可能となります。
    当然、そっちの方が教わる方の学習効率も向上しますし、間違ったことを教えていないだろうか、と不安に駆られることもなくなるでしょう。
    (他人に教えることの有効性については、https://career-ed-lab.mynavi.jp/career-column/707/を参考にしてください)

特に3点目については、専門外の人間(例えば営業先の顧客とか)に業務の説明をする際に、「専門用語をなるべく使わない」ことを心掛けるよう言われたことがある人も多いと思います。
そう言われて、どうやって説明しよう…と迷うこともよくあることですが、これも「使い方」を頭に入れておくことで対処が少しは容易になるでしょう。

あとは気持ちの問題ですが、「覚えても役に立たない」より「役立てる使い方を探そう!」の方が学習のモチベーションになります。
モチベーションが高ければ学習効率が高まるのも当然なので、なるべくポジティブな気持ちを持てる理由を付けておこう、というのが結論です。

おまけ:実際に覚えて役に立つ事例

「ls -l」というコマンドをご存じでしょうか。
Linuxに触れたことがあれば大抵の人は知っているでしょう。ファイルの一覧を出すコマンドです。
そして、このコマンド自体は「ls」のみでも成立します。「-l」部分はオプションで、詳細な情報が欲しい場合に付け加えます。
つまり、lsというコマンドに「もっと詳しい情報をくれ!」という命令を出して実行している訳ですが、現場では「ls」単品で使用する機会はほぼ無いため、ファイルの一覧を出したい=「ls -l」と打つ、というのが手癖になっています。
ここまでは前置きで、ここからは覚えていて役に立った、というお話。
当然ながら、上のlsコマンドには「-l」以外にも様々なオプションが存在しています。
例えば、「-a」はすべてのファイルを表示する。「-r」は逆順に表示する。「-t」は更新時間順に表示する。
普段はあまり使わないオプションなのですが、
「急にディスク容量が逼迫し、対処するために直近で作られたファイルの中で最もサイズが大きいものを知りたい」
という状況に出くわした場合を想定しましょう。
ちなみにディスク容量の逼迫そのものは、大抵は容量を確保するためにファイルを削除したり移動したりして容量を確保することで対処しています。
知りたいのは、「どのファイルを対象に削除したり移動したりすればいいのか」ということ。
それを知るためには色々な手段がありますが、とりあえず今回はどのフォルダが原因になっているのかまでは特定出来たことにしましょう。
そして、フォルダの中のファイルを一覧で表示し、更新時間が直近のものから順番に、サイズが特に大きいものを探し出す訳ですが。
ここで、ちょっと前の話を思い出してみてください。そういう時に最適なオプションの存在を。
「ls -lart」とコマンドを打てば、最後に更新されたファイルから順番に、中にあるファイルを隠しファイルを含め全部出してくれます。
ちなみにサイズ順にしたい場合は「-S」オプションを使い、サイズの単位を分かりやすくするためには「-h」オプションを使います。
あらかじめ、どういうオプションを使えばどんな結果になるかを知っていれば、必要になった時にその都度調べる必要がなくなります。
「こんなオプションあるんだ。でも普段は使わないから覚えても役に立たないな」で終わらずに、
どういう状況で使うものなのか、ということを覚えておくといざという時に役に立つ、というお話でした。

前へ

Vueの基礎(2つのAPIスタイル)

次へ

インフラエンジニア向けオススメ入門書